MACDはアメリカの投資家、ジェラルド・アペル氏 によって1960年代に考案されました。
MACDはトレンド系のテクニカル指標ですが、オシレター系と同様の使い方をされることも多く、オシレター系に分類される場合もあります。
MACDは「Moving Average Convergence Divergence」の略で「マックディー」と読みます。
Convergenceは収束を意味し、Divergenceは逸脱を意味しており、MACDは短期間のトレード判断に最も適したテクニカル指標とされています。
MACDの構成
MACDはMACDラインとシグナルラインの2本の指標を表す線で構成されており、この2本の線が交差するか、突き抜けた時にトレンドが変わる可能性が高く、多くの投資家が使用しています。
MACDはトレンドの増大、減衰を図表の波(曲線)で示しており、相場の勢いや押し目が視覚的に捉えられるのが特徴です。
また、MACDのヒストグラムからもトレンドの変化を捉えることができ、これも特徴の一つです。
MACDで使用している移動平均線は、直近の値動きにウエイトをおいたEMA(指数平滑移動平均線)になります。
MACDは短期EMA(指数平滑移動平均線)と長期EMA(指数平滑移動平均線)がどれだけ乖離しているかを示しており、この乖離が大きいとトレンドが強く、乖離が小さいとトレンドが弱いと判断されます。
EMA(指数平滑移動平均線)の詳細については、別記事の(移動平均線の見方・使い方|基本的な設定方法と活用法)で詳しく紹介してます。
TradingView提供のチャート
MACDの計算式
MACD=短期EMA-長期EMA
シグナル=MACDのSMA(単純移動平均線 )
MACDの計算に使用するEMA・SMA設定期間
短期EMAは『12』、長期EMAは『26』がデフォルト値になり、シグナルで使用するSMAの期間はデフォルト値『9』が一般的です。
相場状況によっては相場の変化とMACDのシグナルポイントが合致しなくなる場合があり、
その場合にはMACDで使用するEMA・SMAの設定期間を変更することで対応します。
MACDで使用するEMA・SMA設定期間を調整する場合には、直近の相場状況とMACDのシグナルポイントが合致するようシミレーションを行い設定変更を行います。
但し、むやみにEMA・SMAの期間設定を変更すると、正確なMACDのシグナルポイントが表示できなくなるため注意が必要です。
具体的にはデフォルト値の約半分に設定するとか各EMA・SMA設定期間の比率を保って設定することがポイントになります。
EMA・SMA期間設定の変更一例
MACDで使用する短期EMAは『6』、長期EMAは『13』に設定、シグナルで使用するSMAの期間は『4』に設定など!
MACDの活用ポイント
実際のトレードではMACDラインとシグナルラインの交差したところが、トレンドの変わり目となることが多く、多くの投資家が注目しています。
ゴールデンクロス
MACDラインが下からシグナルラインを上抜けすると買いのサインとされています。
デッドクロス
MACDラインが上からシグナルラインを下抜けすると売りのサインとされています。
ゴールデンクロス発生後にMACDラインがゼロラインを上回った場合はより強い買いのサイン、逆にデッドクロスの後にMACDラインがゼロラインを下回った場合には、より強い売りのサインとなります。
TradingView提供のチャート
MACDラインとシグナルラインがゼロのラインを上抜けた場合には上昇トレンドが継続する可能性が高いとされます。
MACDラインとシグナルラインがゼロのラインを下抜けた場合には下降トレンドの継続する可能性が高いとされます。
現在のトレンドが強いトレンドなのか弱いトレンドなのかを判断するための有効なサインと考えてよいでしょう。
ヒストグラム
MACDからシグナルの値を引いて棒グラフにしたものがヒストグラムです。
ヒストグラムは、MACDとシグナルの乖離の度合いを示した指標であり、乖離の大きさが一目で分かります。
ヒストグラムはMACDラインがシグナルラインの上にある時にはゼロラインより上側に位置し、逆にMACDラインがシグナルラインの下側にある時にはゼロラインより下側に位置します。
また、MACDラインとシグナルラインが交差した時に、ヒストグラムはゼロになります。
ヒストグラムがマイナスからプラスになった時は買いのサイン、プラスからマイナスになった時は売りのサインとして活用できます。
ダイバージェンス
ダイバージェンスとは株価とテクニカル指標が逆行している状態をいいます。
株価が上昇しているのにMACDラインは下降しているような状態のことです。
トレンド発生時にダイバージェンスがおきた場合には、トレンドが弱まっているサインとなりトレンドが転換する可能性があるので注意が必要です。
ワンポイント・アドバイス
MACDはトレンドが発生している相場では信頼度が高いですが、レンジ相場ではダマシも多く発生するリスクがあります。
相場がレンジ相場の状況では、他のテクニカル指標を併用するなどして市況を見極めることが大切です。
特にRSIと組合せることでMACDでは分析の難しいレンジ相場でも判断することができます。
RSIでの売買シグナルとMACDでの売買シグナルがダイバージェンスしていない状況では、信頼度はより高くなります。
TradingView提供のチャート
RSIは以下の別記事で詳しく解説しています。
RSI(相対力指数)の見方・使い方|基本的な設定方法と活用法
まとめ
いかがでしたか。
本文でも解説を行いましたが、MACDはある程度のトレンドが発生している時には精度の高い分析を行うことができるので有効に活用できます。
MACDやシグナルの位置関係を読むのがまだ難しい方は、MACDのヒストグラムで視覚的に売買ポイントを見極めるのも一つの方法です。
※ 投資の判断は、全て自己責任で行って下さい。
※本サイトで使用しているチャートプラットフォームはTradingViewの提供です。
この記事が、皆様のお役に立てれば幸いです。