グランビルの法則は、米国の証券アナリストであるジョセフ・E・グランビル氏が1960年代に考案した投資手法です。
200日移動平均線が最もよくトレンド方向を示していることを実証データーにより証明したことがグランビルの法則の基本になっています。
移動平均線だけで株式投資の売買を判断しようとすると株価が急変動した時に判断が遅れてしまいます。
トレンド転換の判断の遅れを株価が中・長期移動平均線とどれだけ乖離しているかを基準に売買タイミングを見極めようとするのがグランビルの法則です。
株価が中・長期移動平均線とどれだけ乖離しているかによって株価が買われすぎなのか売られすぎなのかを判断します。
グランビルの法則では株価が中・長期移動平均線よりどれだけ乖離しているかが最も重要な意味を持っており、中・長期日移動平均線に対する株価の乖離が時間の経過によって修正されるという考えを基にしています。
具体的には株価と中・長期移動平均線との関係を8つのチャートパターンで示し、売買タイミングを見極めようとした手法であり、中・長期移動平均線の傾きにより株価が上昇トレンドにあるのか、下降トレンドにあるのかを見極め、下図の① ~ ⑧の各局面で『買い局面』か『売り局面』かを示しています。
図中の① ~ ④が『買い局面』であり⑤ ~ ⑧が『売り局面』を示しています。
以下の8つのチャートパターンについて詳しく解説いたします。
8つのチャートパターンとは
買いパターン1(新規の買い)
中・長期移動平均線が下降のあと、横這いかもしくは上昇している時、株価が中・長期移動平均線を上抜けした場合は強い買いシグナルとされる。
買いパターン2(押し目買い)
上昇中の中・長期移動平均線を株価が一時的に下回っても中・長期移動平均線の上昇に変化がない時には押し目買いのシグナルとされる。
買いパターン3(買い乗せ)
株価が上昇している中・長期移動平均線の上方に位置したあと株価が下降に向かっても中・長期移動平均線を割らずに再び上昇した場合は買い乗せのシグナルとされる。
買いパターン4(反発狙いの買い)
中・長期移動平均線が下降中でも株価が中・長期移動線から大きくかけ離れて下降した場合には一端、自立反発する可能性があり反発狙いの買い場とされる。
売りパターン5(強い売りシグナル)
中・長期移動平均線が上昇のあと、横這いかもしくは下降している時、株価が中・長期移動平均線を下抜けした場合は強い売りシグナルとされる。
売りパターン6(戻り売り)
下降中の中・長期移動平均線を株価が一時的に上回っても中・長期移動平均線の下降に変化がない時には戻り売りのシグナルとされる。
売りパターン7(売り乗せ)
株価が下降している中・長期移動平均線の下方に位置したあと株価が下降に向かっても中・長期移動平均線を上回らずに再び下降した場合は売り乗せのシグナルとされる。
売りパターン8(短期の売り場)
中・長期移動平均線が上昇中でも株価が中・長期移動線から大きくかけ離れて上昇した場合には一端、下落する可能性があり短期の売り場とされる。
まとめ
いかがでしたか。
グランビルの法則を活用するに当たり、③・⑦のパターンでは中・長期移動平均線が③では下値支持線となり、⑦では上値抵抗線となり易く比較的判断する難易度は低いと思われます。
しかし、②・④のパターンでは後講釈すれば買い、⑥・⑧のパターンでは売りであるが実際の売買で、この様な状況での判断は難しく、それぞれの場面で『噴き上げ』や『深押し』に見舞われる可能性もあり株価が明確に反転したのを待ってから売買すべきです。
尚、実際の株価が天井なのか底なのかの見極めにはRSIや乖離率など他のテクニカル指標を併用して株価の動向を見極めることが大切です。
参考にしたい相場の格言!
『落ちてくるナイフはつかむな』
急落時の投資は落ちてくるナイフをつかむようなもの、ナイフが床に落ちてから底を打ったのを確認してから投資すべきという相場格言です。
『売り買いは腹八分目』
『アタマとシッポはくれてやれ』
実際の相場で天井や底は誰にも分かるはずがなく、最高値で売ろうとか最安値で買おうとは思わないように戒める格言です。
移動平均線を活用したテクニカル分析は最も一般的ですが、移動平均を応用したグランビルの法則は、多くの投資家のエントリータイミングを予測するのに役に立つ思考であり、是非とも身に着けたい手法だと思います。
※ 投資の判断は、全て自己責任で行って下さい。
この記事が、皆様のお役に立てれば幸いです。